J'sGOAL編集長「Jリーグにセカンドインパクトを起こしたい」
2009年11月11日
J'sGOAL編集長インタビュー
「Jリーグにセカンドインパクトを起こしたい」
9月4日、J's GOALの歴史とエッセンスが詰まった一冊「スタジアムの感動を! J's GOALの熱き挑戦」がTAC出版より発売された。Jリーグの各クラブのサポーター・ファンにとって、今やなくてはならない存在となったJ's GOAL。同書の出版を記念して、JリーグメディアプロモーションのJ'sGOAL編集長に話を伺った。
【印税は全額寄付、著者名は出さない】
岡田:まずは今回の書籍の出版の経緯を教えてください。
J's GOAL:昨年の7月頃、社会人の方たち向けにスポーツビジネスについてお話をする機会があり、そこでJ'sGOALの成り立ちや運営について話をしたんです。その中に今回の出版社の方がいて、オファーをいただきまして、印税を全額寄付すること、著者名を出さないということであればという条件でお受けすることになりました。
岡田:その2つの条件はどういった理由からでしょう?
J's GOAL:印税を全額寄付に関しては、J's GOALとして少しでもサッカーを通して社会貢献ができればと思っていました。また、Jリーグの活動方針に「障害を持つ人も一緒に楽しめるスポーツのシステムをつくっていきます」というものがあります。そこで、印税を障害者サッカーの団体に全額寄付をすることを決めました。こうすることでJリーグの活動方針に沿ったアクションができればという気持ちがありましたし、障害者サッカーに対して知って頂くきっかけとなればという思いもありました。
また、J'sGOALは、Jリーグに関わるすべての人のものであり、誰かのものと思われないようにしたいという思いがあり、特定の名前は極力伏せたいと思いました。なので、著者名は個人名を出さないようにしました。ただし、書籍を出版するにあたり責任の所在をはっきりさせないといけないので、Jリーグメディアプロモーションを編著として出版することになったわけです。
【Jリーグを楽しんでもらうための情報を発信する】
岡田:J'sGOALは「Jリーグ公認ファンサイト」という位置づけになっていますが、Jリーグ公式サイトとの棲み分けというのはどう考えているのでしょう?
J's GOAL:公式サイトはJリーグ全体のブランディングの場、J'sGOALはマーケティングの場です。公式に伝えたい情報を伝える場がJリーグ公式サイト。J'sGOALはマーケットを広げて、スタジアムに行く人を1人でも増やすというのが目的です。そのためにはいろいろトライしたり怒られたりもしながら、スピード重視で新しいことにチャレンジしていこうという棲み分けです。
岡田:J'sGOALを始めた当初は、画像1つ載せるのにも苦労していたと聞いたのですが、今は写真の記事にコメントまで付けられるようになってだいぶ自由になりましたよね。
J's GOAL:そうですね。ただ、コメントは、ネガティブな内容とか、誰かが悲しい思いをするものなど内容によっては載せられないものもあるので今は全てこちらで確認してから載せさせてもらっています。
J'sGOALのスタンスとしては、公認のファンサイトとしてJリーグを楽しんでもらうための情報を発信するというのが役割ですので、一部発言をカットしていることもあります。全部出した方がいいのではという意見もあるのですが、現状ではこのようなオペレーションをさせてもらっています。
【J2を盛り上げないとJリーグ全体の底上げにならない】
岡田:専門誌や民間メディアとの棲み分けというのはどう考えているんですか?
J's GOAL:基本的にはメディアとの棲み分けは常に意識をしながらやっています。例えば、プレビュー記事は、一人でも多くの人にスタジアムに行ってもらう、テレビで見てもらう、ラジオを聞いてもらう目的で試合前日には載せますが、掲載は昼以降のタイミング、試合のレポート記事は、試合翌日の新聞が発売される時間よりは後の時間、基本的には昼以降に掲載するようにしています。
また、スキャンダラスなニュースというのは露出しやすいのですが、そのような情報は扱いません。またこれは一例ですが、あるクラブの存続が話題となったとしても、そのクラブがどんな試合をしていて、サポーターがどれだけ必死に応援していたかという部分はなかなか取り上げられない。そういった部分をきちんと追いかけること、スタジアムに来た人がこれだけ楽しんでいる、クラブが地域にこれだけ貢献している、そういった情報を出していくのがJ'sGOALの役割だと思っています。
岡田:今年はとくにJ2を中心とした企画が増えていますよね。
J's GOAL:Jリーグが全体として盛り上がっていくことを考えたときに、J2やヤマザキナビスコカップの情報に注力していくというのはあります。また、企画を出したときに、J2のクラブの方が乗ってくれやすいというのも理由の1つです。J2クラブの方が、限られた予算の中で、なんとかしてクラブや選手の知名度やスタジアムでの観戦者数を上げたいという意識が強いかもしれないですね。
J1のメディア露出が充分かというと、まだまだだと思うのですが、それでもまだJ1はキー局のテレビや全国紙でも取り上げられています。ただ、J2のクラブだと、その地方では地元メディアで露出が結構あったりするんですが、全国区での露出はほとんどない。全国的な露出がないなから、J2の素晴らしさ、楽しさを伝えていくのが自分たちの役割だと思っています。J2を盛り上げないとJリーグ全体の底上げになりませんからね。
岡田:本書の終盤には、究極的にはJ'sGOALがなくなればいいという話もありましたが、それはどういう意味でしょう?
J's GOAL:サッカーファンやクラブのサポーターだけではなく、普通の人の日常会話の中でJリーグの話題が毎日のように出てくるようになれば、現在のように、Jリーグの広報予算を頂き、J'sGOALのような公認のファンサイトを運営する必要はなくなるのかなと思っているということです。どこのメディアでも日常的にJリーグの話題がどんどん出てくるようになれば、J'sGOALの役割は終わるのかなと。サイトのページビューは伸びているのですが、Jリーグのスタジアム観戦者数は思うようには伸びていなく、自分たちの力不足を感じており、今はすごくジレンマなんです。
【2回を4回に、2人を4人に】
岡田:J'sGOALの場合は、1度スタジアムに見に来た人を2回、3回と足を運ぶようにするのが役割じゃないですか。ただ、Jリーグファンの平均観戦回数は、すでに年間10試合を超えていて、リピーター率がすごく高いんですよね。
J's GOAL:プロモーションでまったくの関心がない人を新規のファンとして獲得しようとすれば、すごくコストがかかるし、掲載するメディアの選定もとても難しくなります。私たちがまずするべきことは、昔見に来ていて今来ていない人にもう一度スタジアムに足を運んでもらう、年間のスタジアム観戦者数が2回の人を4回にする、いつも2人で来ている人にお友達や家族を誘ってもらって4人にする、そういったことなんだと思います。
日本のサッカーはJリーグ発足とともにブームになり、2002年の日韓ワールドカップでひとつのピークを迎え、これから尻すぼみになっていってしまうのかそれともブームから文化として根付いていくのか、今がとても重要な時で、踏ん張りどきだと思っています。このビル(JFAハウス)の中の人間ももっと頑張っていかないといけないですし、様々なメディアの皆さまとも力を合わせて、日本にサッカー文化がしっかりと根付いていくようにしていければなと思っています。

【Jリーグに「セカンドインパクト」を起こしたい】
J's GOAL:新しいことをやる人間がどんどん増えていかないといけないと思っています。やりきれていないことはたくさんあるんですけど、ひとつひとつ、チャレンジしていくしかない。J'sGOALにしても、Jリーグ全体のプロモーションにしても、果敢に、全力でチャレンジし、もし失敗してしまったらそれを次にしっかりと生かしていけばいいと思っています。
岡田:それこそ、サッカー的な思考ですよね。
J's GOAL:サッカーは、ミスが前提のスポーツですからね。
岡田:今は、そういうチャレンジがサッカー界全体で少なくなっていますよね。
J's GOAL:個人的には「セカンドインパクト」という言葉をよく使うんです。Jリーグ立ち上げのときの世間的なインパクトって、すごく大きかったと思うんですよ。だけどその後に続くインパクトがない。W杯開催というのがありましたけど、それはJリーグとはまた別次元の話なので。なんとかしてもう一度、Jリーグに大きな山を作りたい。
Jリーグが常にスタジアムが満員の人気スポーツになるために必要な「セカンドインパクト」は何なのか、それを常に考えながらやっています。そのためには僕自身も覚悟を持って、リスクを取りながらチャレンジして行かないといけないと思っています。
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