自らゴールを決めるゴールキーパーの歴史と変遷
2009年12月11日
【GKが2人もゴールを記録するという珍しい節に】
とうとう決勝トーナメントに進出する16クラブがすべて決定したUEFAチャンピオンズリーグ。残るグループ突破の1枠を懸けて、最終節の直接対決で鎬を削ったユヴェントスとバイエルンの一戦。1-0とリードされた場面で、バイエルンのブットはおおよそGKとは思えないハイレベルなキックを見せてPKを成功。これをきっかけに逆転勝利を収めたバイエルンが勝ち点でも逆転して、決勝トーナメント進出を決めました。
ご存知の方も多いと思いますが、このブットは元々PKキッカーとして非常に有名なGK。今シーズン開幕時でブンデスリーガ通算332試合出場26ゴール。渋いボランチも真っ青の数字を残しているんです。特にハンブルガーSVに所属していた1999/2000シーズンには9ゴールをマーク。当時のエース、イエボアと同じゴール数でチーム内得点王にも輝いています。なお、ブットがチャンピオンズリーグで挙げたゴールは2001/2002シーズンの、やはりユヴェントス戦以来。その時の相手GKも今回と同じブッフォンだったのは、何かの巡り合わせでしょうか。
さらに、スタンダール対AZでは先制を許したスタンダールが終了間際の95分に同点ゴールを決めたんですけど、このスコアラーが21歳のGKボラト。しかも、こちらはFKに頭から飛び込んで、素晴らしいコースにコントロールしたゴール。チームメイトとスタジアムの凄まじい熱狂具合に、グループ突破が決まったのかと思って順位表を確認したら、最終順位はグループ3位、つまりヨーロッパリーグへの出場。それでも、本当に綺麗な、そして劇的なゴール。今節はGKが2人もゴールを記録するという、非常に珍しい節になりました。
【このジャンルの草分け的存在、元コロンビア代表のイギータ】
最近はあまり積極的にPKやFKにチャレンジするGKは見かけなくなりましたが、このジャンルの草分け的存在といえば、元コロンビア代表のイギータでしょう。最近はコカイン使用やTV番組絡みの整形など、ちょっとガッカリするような話題ばかりを提供しているものの、キャリア通算ではPKで37、PK以外のゴールが4、計41ゴールを決めています。
【FWとしてもプレーしたメキシコ代表のカンポス】
また、元メキシコ代表のカンポスもド派手なユニフォームと共に印象深い攻撃的GK。彼もキャリア通算でPKが9、その他が31と計40ゴールを記録。この人が他のGKとちょっと違うのは、FWとして出場したゲームも結構多いことでしょうか。私も1995年に国立で行われたチャリティーマッチで、カンポスが井原正巳を華麗なドリブルで抜き去ったシーンをよく覚えています。ただ、130試合も出場したメキシコ代表のゲームで1点も記録していないという事実からは、偶然ではない代表への想いを感じる気がします。
【元パラグアイ代表のチラベルトはハットトリックを達成】
元パラグアイ代表のチラベルトも忘れるわけにはいきません。PKでの45ゴールはGKとしての世界最多記録。これにその他の17ゴールを加えた62ゴールがキャリア通算で、代表でも8ゴールをマークしています。でも、この人の特筆すべき記録は、なんとハットトリックを達成したこと。1999年にベレス・サルスフィエルドのGKとして、フェロ・カリル・オエステとの“クラシコ”に出場して、すべてPKで3ゴールを奪取。これはGKによる、世界初のハットトリックと認定されているようです。
【ロジェリオ・セニ、前人未到の100ゴール達成なるか?】
そして、こんな異才たちをまとめて追い抜いたのが、現在もゴールを決め続けている、サンパウロ所属のロジェリオ・セニ。PKが36ゴール、そしてそれ以外はすべてFKで驚異の49ゴールを挙げており、通算85ゴール。12月6日に行われたブラジル全国選手権の最終節でも、きっちりFKからゴールを奪い、コパ・リベルタドーレスの出場権獲得に貢献しました。現在36歳。ポジションを考えると、まだまだプレーできるはず。前人未到の100ゴール達成まで是非頑張って欲しいものです。
【現役で複数ゴールを決めているGK】
他に現役で複数ゴールを決めているGKは、ペルーのシエンシアーノ所属、ベガス(37ゴール)、トルコのブルザスポル所属、ブルガリア人のイヴァンコフ(34ゴール)、エルサルバドルのイジドロ・マテパン所属、アルファロ(31ゴール)、グアテマラのデポルティボ・エレディア所属、コスタリカ人のパテルソン(28ゴール)、アルゼンチンのバンフィエルド所属、ルチェッティ(18ゴール)などが挙げられます。なお、今回の数字はIFFHSより2009年10月30日に発表されたリストを参照させて頂きました。
ついでに有名どころでいくと、元ドイツ代表のレーマンはシャルケ時代に1860ミュンヘンとボルシア・ドルトムントからPKでそれぞれゴール。セルティックのボルツはレギワ・ワルシャワ時代に、マンチェスターUのファン・デル・サールもアヤックス時代に、PKでのゴールを記録。セビージャのパロップは、2006/2007シーズンのUEFAカップベスト16・2nd-Legのシャフタール戦で、後半ロスタイムにヘディングで起死回生の同点ゴール。元アメリカ代表のフリーデルはブラックバーン時代に、チャールトン戦で90分に自ら同点ゴールを叩き込みながら、結局直後に勝ち越しゴールを決められて負けるという、悲しい体験をしています。
【Jリーグでは過去に4人がゴールを記録】
Jリーグでは過去に、田北雄気(浦和)、松永成立(京都)、菅野孝憲(当時横浜FC)、高木義成(東京V)と4人がゴールを記録。田北はPKによるもので、あとの3人はFKでしたが、いずれもハプニング要素の強い超ロングシュートということもあって、意図したキックによるPK以外のゴールはまだ記録されていません。
個人的には、2005年のJリーグデビュー戦でいきなりFKを蹴って、思いっきりふかした大分の西川周作に期待しているのですが、あれ以降はすっかり封印してしまいました。ユース時代には直接ゴールも決めているようなので、何とかまたチャレンジして欲しいものです。他にもキックのうまさなどから、前述の菅野、川島永嗣(川崎)、吉田智志(熊本)たちには可能性あると思うんですけどねえ。
なお、今週のFoot!はそんなブットのゴールも見られる、チャンピオンズリーグのグループステージ第6節ハイライトに加えて、山口素弘&名波浩という元日本代表コンビによるワールドカップ展望もありますのでお楽しみに!
WORLD SOCCER NEWS「Foot!」
初回放送は毎週金曜23:00-24:00。


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