名作を読み解くことで学べる生きる技術とは
2010年1月24日
1月19日、ブログ「空中キャンプ」伊藤聡さんの初めての著書「生きる技術は名作に学べ」がソフトバンク新書より発売された。
著者の言葉を借りれば、本書は「過去の海外名作小説を十作セレクトし、それらについてコント風に語りながら、役立つエキスを抽出しようというテーマで作られた一冊」。お題となっている十作は以下の通りだ。
第一章 ママンってなんだ──カミュ『異邦人』
第二章 もっと上手に甘えなさい──ヘッセ『車輪の下で』
第三章 さよなら、父さん──トゥルゲーネフ『初恋』
第四章 かわいそうだけじゃかわいそう──『アンネの日記』
第五章 男らしさはつらいよ──ヘミングウェイ『老人と海』
第六章 でた、悪人──モーム『月と六ペンス』
第七章 ミシシッピー川でつかまえて──マーク・トウェイン『ハックルベリイ・フィンの冒険』
第八章 欲しいものが、欲しいわ──スタンダール『赤と黒』
第九章 世界が終わる日──ジョージ・オーウェル『一九八四年』
第十章 二一世紀の読者たちへ──トーマス・マン『魔の山』
同ブログのファンであるサポティスタ岡田は、本書を読んで著者の伊藤さんに気になった点について、いくつか聞いてみた。
【たとえ脱線しても土台が崩れてしまうことはない】
- 「空中キャンプ」さんといえば映画のイメージが強いと思うのですが、今回、素材として古典文学の名作を選んだ理由はなぜなのでしょう?
伊藤 映画と文学のどちらが重要かというのは、比較できませんが、個人的には、よりよい文章を書くことについて、いろいろ試してみたいとおもっているので、文学について集中して研究したり、書いたりすれば、自分の文章能力がすこしでもプラスの方向にいくかなとおもいました。文豪たちから教えを請うという感じです。
できるだけ自由に文章を書きたいとおもったときに、その土台として古典文学をもってくれば、土台がとてもしっかりしているので、その上でどれだけ遊んでも、たとえ脱線しても、土台が崩れてしまうことはないとおもっていました。書き手としてはとくに経験もないので、なるべく安心して書ける素材を選びました。
【テキストとして超一級、AAAクラスのものは取り上げない】
- 数ある文学作品の中からこの10冊を選んだ理由は?
伊藤 扱う基準は、名作ではあるけれども、決して超一級ではなく、最近ではあまり論じられることもすくなくなってきたテキスト、書名ばかりが有名で、実は読者が減ってきているような本です。
テキストとして超一級、AAAクラスのものは取り上げないということは考えました。ドストエフスキーとか、カフカ、ガルシア・マルケス、メルヴィル、フォークナー等です。これらはいまでも読まれているし、現代性も高くて、さかんに論じられているからです。逆にいま、『車輪の下』を熱く語る人はまずいないし、『魔の山』論を上梓する人もいません。
そういう本に着目して、そこから味わいのある部分とか、笑える部分をうまく抽出できればいいなとおもって書きました。
【これがレコードだったら聴きやすい曲順はなにか】
- 書くときはどういう順番に書いていったのですか? また章の並びはどうやって決めたのでしょう?
伊藤 書くときは、章順はいっさい考えずに、ばらばらに書きはじめました。最初はほんとうに手探りで、文章の方向性も決まっていなかったし、全体の構成もかなりあやふやだったので、完成形にはほど遠い、ほとんどアブストラクトに近いようなものを編集者に渡していました。
いったん書いたものを、時間を置いて眺め直してみると、欠点や足りない部分がわかってくるので、あらためて手を入れて、内容をまとめていきました。10章すべて完成してから、さらにバランスを取ったり、各章のコントラストがでるように直したりといった作業をしました。
章順については、本を1枚のCDのように考えて、曲順を決めるみたいに考えました。1曲目は誰にでもわかりやすくポップなもの、2曲目はポップだけどすこしねじれた感じ、という風に進めていって、実験的なものや、変わった雰囲気のものは中盤に入れるなど、「これがレコードだったら聴きやすい曲順はなにか」という仮定で決めました。
軽くて読みやすく笑えてちょっとためになる、普段あまり本を読まない人にもオススメできる一冊なので、興味を持った人はぜひお手に取ってみてください。
link
『生きる技術は名作に学べ』発売だよー!(空中キャンプ)
No_06「プロフェッショナル・エッセイスト(!?)の作り方」
岸本佐知子X伊藤聡(空中キャンプ)(夜のプロトコル)
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