JFA公認C級コーチ養成講習会レポート 3日目+前半総括
2010年2月 8日
埼玉県サッカー協会主催のJFA公認C級コーチ養成講習会の3日目が終わった。
各2泊3日ずつ前後半に分けてのC級コーチ養成講座も今日で3日目。はやくも前半が終わった。そこで3日目のレポート共に、前半の総括をまとめたいと思う。
まずは前日までと同じように、3日目のスケジュールを軽くおさらいする。
この日は
実技 ゴールを奪う~シュート~
↓
実技 ゴールを奪う~突破~
↓
昼食
↓
講義 メディカルの知識
↓
講義 プランニング、指導実践ガイダンス
↓
解散
というスケジュールになっていた。
今日は朝から実技が行われたのだが、正直30代の体に3日連続の長時間練習は厳しい。実は今回の講習会で30代以上の参加者は16人いたのだが、そのうち12人は30代グループに、私を含めた4人はそれぞれ2人ずつ若者グループに入れられた。この若者が本当に若くて、C級コーチは18歳以上から取得できるのだが、その基準をクリアしたばかりの19歳~21歳が多く、実戦形式のゲームなどでは対応に苦慮させられることとなった。
余談だが彼らのほとんどはボランティアで地元の少年団などを指導していて、大学生のうちからそうやってサッカーに貢献する姿に尊敬の念を抱いた。素晴らしすぎる。
実技に関して、私はまともなサッカーの指導を受けたことが無かったため、最初から的確な動作をしてくる現役バリバリな若者たちについていくのがやっとだった面もあった。これは30代の人何人かが言っていたが、C級以上のライセンスを求める場合には間違いなく若い頃に取得しに来たほうがいい。なんせ、実技が22時間ほどあるのだから。
本題に戻ろう。この日の実技はゴールを奪うためのプレー、すなわち機会を逃さず、そしてシンプルにゴールを奪うことと、打開してゴールを狙うことが指導された。折しも昨日の日本代表の低調な試合を見ているだけに、多くの受講者が「あいつら、この講習受ければ改善されるんじゃないの?」と思ってしまったのは事実である。
シンプルにゴールに迫るとき、まず大事なことは何か。そこにはもちろんキックの精度(枠を捉える)という大前提があるが、それにも増して「まずはゴールを見て最短距離を判断する」ということが重要となる。ついついチャレンジをせず惰性のパス回しをしたならば、たちまちインストラクターにプレーを止められ、そのプレーに関する問いかけと、こちらの意図があればそのヒアリング、そして本当はどうしたら良かったのかの指摘がされる。もしこれが昨日の試合だったら、何度止められたことだろうか…。そしてアマチュアレベルでさえ指摘すれば修正できることが、トッププロで修正できないというのはどういうことだろうか…と悩んでしまった。コーチが悩むってことは子供に説明できない。これは大問題だ。
次の突破に関する実技でも、シンプルにゴールへ迫ることが要求された。突破では自分がドリブルをしても味方をうまく使ってもどちらでも良い練習が課され、とにかくゴールを狙い続けた。そういえば個サルに行ったとき、「やけにシュートばかりを打つやつがいるなあ…他の人がつまんねえだろ」と思ったこともあったが、指導者の観点からしたらあれは問題がないどころか模範的な行動になるのか…と反省した。
とにかく大事なのはシンプルなこと、受け手(シュートを打てるポジションの人)にとって最適なボールを出すことだった。自己満足で不正確なダイレクトパスをするのはマズイわけだ。しっかりルックアップして、味方の位置・敵の位置・GKの位置を確認し、次のプレーを判断することが求められていた。個人的にだが、子供にここまで要求できることに驚いた。そして、実際子供がすぐに覚えて実現してしまえることにも驚いた。そしてそれがゴールデンエイジの特徴である。
午後はメディカルにて女医さんから怪我や熱中症に対する対処方法(RICE処置)や脳震盪の症状などに関する説明を受けた。質問も色々と出たのだが「子供が鼻血を出すのだけどどうすれば?(鼻頭を圧迫する)」「ねんざした時にはどうしたら?(まずは整形外科でレントゲンを絶対に撮ること)」などの応答がなされた。
前期最後の講義はプランニングと指導実践ガイダンス。これは何かというと、実は後期に我々受講者が実際にテーマにそった練習とそこでの改善指導を行うことが(試験として)義務付けられているので、それに関する説明である。大事なのは、練習を正しくオーガナイズ(設定)して、問題のある場面で止め(フリーズ)、どうしたらいいかを指摘する(コーチング)ことだ。特にフリーズをした後に具体性のある説明、もしくはデモが見せられる指導者は評価が高いとのことだ。サッカーをまともに経験していない私などは、後期に向けてトレーニングが必要かもしれない。
最後の最後に、非売品だという秘蔵映像にて日本サッカーの歴史をなぞるDVDを見せてもらった。そこにはドロドロのグラウンドで戦術も技術も関係なくサッカーをする時代から、クラマー氏によって急激にレベルアップする日本とメキシコオリンピックでの素晴らしい結果、しかしその後急速に求心力を失った日本サッカーリーグや、全てを打開すべくはじめられたJリーグ、そしてドーハやワールドユース、日韓W杯の映像がこれでもかと収められていた。不覚にも不遇の日本リーグ時代から突如として爆発するJ時代とのあまりの変化に、なぜか目頭が熱くなってしまった。
一方でそれに続く映像も衝撃的だった。それはある年の全国中学校選手権の決勝戦の映像。まずはインストラクターから「優勝チームが4本以上のパスを繋ぐ回数はどれくらい?」「一方で負けたチームだとどうだろう」といった質問がされた。私は前者なら20回、後者なら5回くらいかな…と思ったのだが、これがあまりにショックな結果で驚かされた。
というのも、優勝チームは4回以上のパス回しはたった10回以下。実は負けたチームのほうが回数が多いのだ。さらにインストラクターの方いわく、この回数が多いほうが負けがちだと。つまりまっとうなサッカーをしていたら負けてしまうのが中学校の全国大会なのだ。しかし想像してほしい。日本で一番強いチームが、2~3人が攻めてあとはドン引き、ボールは大きく蹴るかコネコネのドリブルで運ぶばかり。結果としてパスは回らない…。そんなチームが優勝してしまうこの現実と、そんなサッカーを強いる指導の現場は健全だろうか。もちろん勝利主情主義が存在してしまうのは仕方がないが、この大会が日本の中学校のサッカーを高めているか、というのは甚だ疑問のように覚えた。
とにかく、日本のサッカーを取り巻く環境は思った以上にマズいことになっていて、それを変えることができるのは指導者と選手に他ならない。昨日は「指導者は教え子の将来に責任がある」というようなことを書いたが、「サッカー指導者は日本のサッカーの未来に責任がある」とも言い換えられるのだなと、強く感じさせられた。そういった思いに気が付けただけでも、この講習会に来て良かったと思えた。
この日はここで解散してしまったので、あとは総括とさせていただく。
順番が前後してしまったが私のスキル・状況を説明すると
・フットサルはここ6年ほど週に2~5回プレー
・いちおう埼玉県の公式戦にも出ていたことがある
・フットサルをこれからはじめようという大人に対し、教えることがある
・サッカーは中学の時にかじった程度、専門的指導を受けたことは無い
・15~22歳までは文科系の部活に所属
・現在31歳
といったもの。子供の頃からサッカーをやってきたわけではないが、フットサルはそこそこできるし、指導する立場になったこともある。普通の人よりはトレーニングも積んでいる。そんな状況である。
このような人間がC級講習会を受けに来てどうだったかと言えば、まずは「結構体キツイです」というのが正直な感想だ。とにかく講習会のように連日長時間グラウンドに立っていたことがないため、足首や膝への負荷が半端ない。またサッカーの基本的な動きが染み付いていないため、無駄が多く、おそらくはその分他の人よりも疲れてしまう。さらにフットサルの動きをしてしまったが為にプレーを失敗することも何度かあった。特にワンタッチ目を懐に収めてしまう(足裏でボールをキープする)ことをかなり注意された。確かにサッカーじゃやらないプレーだよなあ。
そんなわけで、3日目の疲労度はかなりのものである。悪いことを言わないから、このライセンスは若いうちに取りに来たほうが良い。しかしそこはがんばり次第でなんとでもなることも確かだ。50歳以上で取りに来る人も珍しくは無いようなので…。
また環境面を案内すると、埼玉県のサッカー協会が主催するこういった講習会は、基本的に東松山にあるリコーの研修センターで行われる。こちらには教室や泊まるための2人部屋、大浴場、土日でも稼動する食堂があり、こういった合宿を行う会場として最高の環境と言える。なによりナイター設備つきの人工芝サッカー場がある点が素晴らしい。ただしこんなに恵まれた環境は、少なくとも関東では埼玉ぐらいだとも言われた。埼玉に住んでいたのは幸運だったかもしれない。
ということで、3日間に渡って書き散らかさせていただいたC級コーチ養成講習会のレポートはいかがだっただろうか。指導者が集まり、長い時間を共有することで、自ずと日本のサッカー界がかかえる矛盾や問題点も明らかになった部分があったように思える。本当に現場へと来ることは重要なことなのだと再認させられた。そして改めて意識の高い指導者による草の根指導に驚かされ、彼らには頭が下がる思いであった。もしこうした情熱と理論を備えた指導者が日本を多い尽くすまでになったとしたら…日本のサッカーも新時代に突入できるのかもしれない。それは2050年までかかるかもしれないけれど、そう悲観することも無いのではと思う。
なお他にも何名かフットサルC級コーチのために来ていた参加者がいたが、やはりサッカーのC級が必須とされていることに若干の疑問は抱いているようだったことを付け加えておきたい。
では、また来月行われる後半の講習会レポートをお待ちいただければ。最後に、疲れたり酔ったりしたダメな頭で書いた乱文乱筆をご容赦いただいた読者の皆様に感謝したい。



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