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JFA公認C級コーチ養成講習会レポート 後半+全体総括

3月5日~7日にかけて、埼玉県サッカー協会主催のJFA公認C級コーチ養成講習会の後半が行われた。

2月5日~7日の前半部分が講義とコーチングの習得を中心としたものであるのに対し、後半部分はコーチングの実技(2回)と筆記試験のテストが中心となった。

まず最初に行われるのが、コーチング実技の1回目。JFAはトレーニングを「ウォームアップ」「ドリル1」「ドリル2」「スモールサイドゲーム」という要素に分けており、この1回目の実技ではドリルに対する指導の実践が評価の対象とされた。なおドリルというのは改善したい目的をクローズアップした練習であり、それをゲーム形式で確認するのが4対4程度の人数で行われるスモールサイドゲームである。

コーチング実技では、コーチングの技法である「ゲームフリーズ」「シンクロコーチング」を行えるかどうかが大きな焦点となる。ゲームフリーズとはプレーに課題が発見された時点でストップをかけ、場の再現をした上でプレイヤーの意見を聞き(ここが重要)、最後にコーチの伝えたいことを実践・指導などしてゲームを再開させる方法である。一方でシンクロとは、プレーを止めずに声掛けで指導を行う方法である。重要なことは子供たちに考えさせること、その上で指導者はヒントなり答えなりを与えることで、よく学校のグラウンドで見かけられるような「なんでパスしないんだ!」「おまえはドリブルするな!」などといった指導の名の下に行われる命令は決して指導ではない。

余談だが、いまだに「ドリブルしていい子供」「そうでない子供」を指導者が決めてしまう少年団があるそうだ。こんなことされたら、サッカー嫌いになっても仕方が無いと思うのだが、その指導者は何を考えてこうした指導を行うのだろうと嫌な気分にさせられた。

1日目はこうした実技のテストで8割が終了した。気温も高くかなり体力を消耗したことを覚えている。残りの2割は講義が行われ、主に女子サッカーに関する話がなされた。

講義の後に雑談として話し合われたことだが、日本の女子サッカーは世界的にも評価が高く、事実国際大会で結果を残すことが出来ている。しかし一方で、彼女らがプレーする環境は子供の頃からあまりにも制限がなされており、育成という観点で見たときには疑問符がついてしまうとのこと。

まず小学生時には多くの女子選手が男子に混ざってプレーすることを強いられている。もちろんこれは一概には間違いともいえない。だが問題なのはその後で、中学生になると極端なほどにプレーする環境が無くなってしまう。この段階でほとんどの女子選手がサッカーを辞めてしまうとのことだ。高校、大学、社会人になるにつれ多少は環境が改善されるものの、やはり状況としては厳しいらしい。実際にプレー人口を統計したグラフを見せてもらったが、13歳で絶望的なほどの谷が出来てしまっていることに驚きを隠せなかった。

そういえば子供たちがJリーガーの名前を言えないという話もあった。もちろんこれは地上波での放送が無いからである。浦和と大宮のある埼玉県でさえこういった話題が発生してしまうことに、日本サッカー協会とJリーグはもっと危機感を感じたほうが良いのではないだろうか。

また保護者と指導者の関係という問題も明らかにされた。本当に笑えない話だが、遊びともサッカーともつかない幼稚園生の練習を見た親が「もっとレベルの高い練習をさせるので」と言ってその子を退団させてしまったことがあったようだ。指導者としては彼の将来が心配だが、どうにもできない…との無念感があるとのこと。

様々な家庭の事情でサッカーを楽しめなくなってきている子供は表情を見ればすぐわかるため、そういった子の心や環境についてもケアをしている指導者も少なからずいるようだ。クラブの指導者とはなんとハードなのだろうか…ということを痛感した。

1日目はこのような感じで終了した。受講者もかなり打ち解けてきており、雰囲気はとても良い。このまま怪我無く日程を終了できればいいのだが。

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2日目は「GKコーチング」と「ボールを奪う」という指導のための実技を行った。特にボールを奪うことは日本の課題とされているため、厳しいチェックを行うことが課せられ、体力的にも厳しいものとなった。さらに雨が激しくなったため、受講者は体力的にも体調的にもずいぶんと追い詰められたのではないかと思われる。もちろん私もヘトヘトだ。

この日はC級ライセンスのための筆記試験が行われた。D級もそうだが、C級の養成講習会は「落とすため」に行われているのではないのため、テストで大事なところは事前にインストラクターから指摘があり、基本はノートをとっていれば合格できる内容となっている。ちなみに合格のために回答必須の問題があり、それはJFAが最も重きを置いている「一貫指導の重要性を説明する」というものであった。それはかなり簡単に答えるなら「子供の成長は一様ではないため、各指導者が年代に応じた指導を行うこと」である。年代に応じた指導の内容を理解している指導者がリレーして1人のプレイヤーを育てよう、と言い換えても良いかもしれない。この問題が回答できない場合、インストラクターとの対話による追試が行わることとなる。私は幸いにも一発で合格することができた。

2日目の夜は翌日に行われる指導実践テストの話題で持ちきりとなった。お互いにどういった指導案を作り、どんな点にフォーカスして指導を行うかが情報共有された。インストラクターの言葉で「サッカーはカンニングが有効なスポーツ。他人の良いところは見て聞いてどんどん盗むのが最善」という言葉が強く記憶に残っている。こういった講習会の場で指導者間の繋がりができれば、そうしたポジティブな技法の盗み合いもしやすくなるのではないかと感じられた。

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3日目は本講習会の山場、実践指導テストの2回目である。これはスモールサイドゲームを通じた指導を評価されるテストで、ゲーム分析力や指導力がかなり問われることとなる。朝からは生憎の強い雨が降りしきり、また厳しい実技続きによって受講者の体力・気力ともに低下が感じられた。また怪我人も何人か発生し始めるなど、講習会の厳しさを感じさせるものとなっていた。C級がこれであったなら、B級、A級などはどれだけ厳しいのだろうか…。

指導実践では様々な項目を評価されるが、基本的にはどの項目も5点中3点を取らなければ追試となる。だが追試もその日のうちに行われ、結果としては今回の参加者は全てC級ライセンスに合格となった。2泊3日を2回、計6日寝食をともにした仲間が全員合格するというのは感慨深いものである。かくして今回のC級コーチ養成講習会は終了となった。

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最後に6日間を通じた総括を。

参加者にはバリバリの現役からサッカー未経験な40過ぎのお父さんまで様々な方が参加されていたが、どちらかといえばサッカー経験者が多く、特に30歳後半以降で講習会を受講する人には、そこそこの経歴をお持ちであった方が多かったように思える。体力的には20代前半で受講したほうが間違いなく良さそうであるが、40歳、50歳でも合格できるものであることを付け加えておく。

講義はどの内容であっても非常にモチベーションが高く行われ、受講者のサッカーや指導にかける意気込みの高さが感じて取れた。6日間もの時間をかけてライセンスを取ろうというのだからそれは当然であるように思えるのだが、一方でこの場を訪れない指導者がいることも事実。もちろん時間的・費用的な問題が多々あるのだとしても、やはり指導者の一端を担うのであればこの講習会には参加すべきであると強く感じられた。指導者は、子供の将来に責任を持たなければならないのである。

今回の講習会で何度も繰り返し語られたのがロジェ・ルメールの「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」という言葉で、インストラクターにとってもこの講習会は学ぶ場であり、オープンマインドで全てを受け入れ学ぶ姿勢が大事であるということだった。

またまた余談であるが、今回の実技テストにおいて独創性の高く内容の濃い練習をプランニングし実践した指導実績十分の受講者が再テストとなる一幕が何回か見受けられた。どのような観点から再テストになったのかが説明されなかったため、そこに若干のくすぶりが感じられた。お互いのオープンマインドのためにもこの点は明らかにして欲しかったのだが…。今回の講習会中では確認するタイミングが取れなかったので、いつかインストラクターに取材する機会があればこの点は明らかにしたいものだ。

現場のかかえる大きな課題も明らかになった。例えば小学校→中学校などのカテゴリをまたぐ時が問題で、その子がどういった環境でサッカーを続けるか、続けられるように手を差し伸べてあげるかということが大きな悩みとなっているようだった。これは一歩間違えれば子供がそこでサッカーを辞めてしまうという問題に直結する。クラブチームのユースなどはサッカー環境としては素晴らしいかもしれないが、ではそこからはじかれてしまった選手は、誰が受け止めてあげるのだろうか?高校に入って突然控えになってしまった選手はどうなる?先月のレポートで語った2重登録や移籍登録の問題なども含め、これから日本のサッカー界が解決しなければならない大きな問題であるように思えた。

この講習会で養われるのはプレーを分析する力や指導を行うための基礎的な知識であるが、それ以上に指導者同士が現場での知見を交換し、お互い助け合うためのネットワークを形成できるところが重要であるように感じられた。

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とにかく内容の濃い、いや濃すぎる6日間だった。すでに指導者である人間も、これから指導者を目指す人も、そしてできればメディアの人間も、サッカーに携わる者であれば早めに受講することを強くすすめたい。それくらいサッカー観の変わる講習会であることには間違いない。特に今学びをやめてしまっている人にこそ、この講習会を受講して欲しいと、強く強く願う。

「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」

この言葉の「教える」は、きっと「伝える」ということにも置き換えられるのではないかと感じたが、果たしてメディア側の人間がそうした意識を持っているだろうか?そうしたことも含めて、大きな6日間だった。

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最後に、苦楽を共にした仲間と、我々に指導をしてくれたインストラクターの方々、施設を貸してくださったリコー東松山研修センターの皆様、そして見えないところでこの講習会を支えてくれた全ての人に感謝いたします。本当にありがとうございました。

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将来的にはフットサルC級の講習会をお伝えすることになるかと思われます。4回にもわたって長文レポートにお付き合いいただきありがとうございました。

オラニエ 中山記男

link
JFA公認C級コーチ養成講習会レポート 1日目
JFA公認C級コーチ養成講習会レポート 2日目
JFA公認C級コーチ養成講習会レポート 3日目+前半総括


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コメント

指導者は是非受講してもらいたいですね!
うちの息子(小学生)のチームの指導者は「ドリブル禁止」と「体力重視でランニング中心のメニュー」を強いております。(ちなみにチームは目茶苦茶弱いです・・・)
サッカー好きな子供たちが「サッカーが面白くない」と嘆いています。
中学でサッカー部に入る子供も非常に少なくなっているのが現状です。
非常に残念で可哀想です。 「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」素晴らしい言葉ですね。
興味深い情報をありがとうございます。
>独創性の高く内容の濃い練習をプランニングし実践した
具体的にどういう練習だったのか知りたくなります。
>3 ライセンス保持者です。 いわゆる、指導実践には、キーファクターがあり、指導する対象にあわせて改善したいテーマを絞ってあります。
大事なのは指導者の知識自慢ではなく、あくまでプレーヤーズファーストとして、指導している対象をそのレベルにあわせてステップアップできるか。 実際、指導の難しいところはこの見極めで、いくら知識とアウトプットに優れていても、肝心なターゲットの技術や欠点が改善されなければコーチングとして失格です。 実際、その方の指導実践を見ているわけではないので、なんともいえないのですが、「オーガナイズがターゲットのレベルにあっていない」「キーファクターが多すぎて、肝心なところがぼやけている」 それが原因ではないでしょうか。 「指導者の自己満足に終わってはいけない。あくまでもプレーヤーズファースト」というのは、僕が指導をしていて、ずっと感じ、座右の銘にしていることです。 生意気なようで、すいません。
木村和司が練習試合で「なんでできないんかのう~」ってぼやいてたことあったけどこれ物を教える人間がもっとも言ってはいけない言葉だよな・・・ http://footballnet.sakura.ne.jp/2010/02/f135/#more
>サッカーを楽しめなくなってきている子供は表情を見ればすぐわかるため
いるよなぁ。
こうなると余計に親の指導がキツくなる。
あれこそ親のエゴ。
子どもの人生は自分で選ばせてやれ、と思う
>4
>「指導者の自己満足に終わってはいけない。あくまでもプレーヤーズファースト」 指導者は「導」く人だってこと、やもすると忘れられがちかもしれませんね
レポート考えながら読ませてもらいました。

現場での声を伝えるメディアが少ない中、こういうレポートは貴重だと思います。継続してどんどん記事にしていってください。
良質のレポートお疲れ様でした。こういった育成年代の課題などの記事こそ多くの反響があってほしいのですが(苦笑)。 ビラルドも『サッカーは進化し続けるもの。だから常に先を見て、教える立場にある指導者は選手の8倍勉強しなければならない』と言ってましたしね(こういったニュアンスの言葉は良く聞きますが)。 オラニエ 中山記男さんはせっかくサッカーC級コーチを取得されたのですから、実際に指導されてみては? 以前と変わってなければ、2年間で必要なリフレッシュポイントを獲得しないと(実際のチーム指導やリフレッシュ講習会講習などで取得)C級コーチ資格は失効するはずですから。
雑誌やスポーツ新聞や各局のサッカー担当ディレクターは、体験リポート目当てでいいからD級受講を義務化すればいいのになと思いつきで書いてみる
D級受講を義務化>>一つのアイデアだとは思うけど、D級の場合一度取得してしまえば、毎年の更新料さえ払えば失効しないんだよね。
ただ、指導者のみ購読できるJFAテクニカルニュースが届くので、取材の参考にはなると思う。 ジャーナリストも常に新しい情報を仕入れ、勉強し時には自らも体験した上で語らないといけないと思う(杉山とかは特に。金子はいいから現場に行け。印象論で書きすぎ)。
>9
いまは4年間で40ポイントになっているみたいですね。フットサルC級を取った時のリフレッシュポイントの扱いがまだわかっていないのですが、機会があれば指導の現場に入ることもあるかもしれません。
中山さん。 レスありがとうございます。今は4年間で40ポイントでしたか。
フットサルコーチ養成講習会の受講条件に『サッカーコーチ資格を取得していること』とあるのは、受講者にとって負担ですよね。 好意的な見方をするなら、最初からフットサルオンリーという選手はそう多くないし、場合によってはサッカーの指導もしないといけないかもしれないから、フットサルコーチはサッカーとフットサルの両方の指導を知っておく必要があるということでしょうかね。 これからも良質のレポートをよろしくお願いします。

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