「ほぼ日」のフランコさんに聞く、イタリアでサッカージャーナリストになる方法
サポティスタ編集部
2002年以前からのサポティスタ読者の方は、日韓W杯のとき、イタリア代表「アズーリ」に帯同し、日本に対する印象的なエピソードを紹介してくれたイタリア人ジャーナリストのことを覚えているかもしれない(ご存じない方は、まずこちらを読んでください)。
2002W杯の期間中、「ほぼ日刊イトイ新聞」で「アズーリにべったり密着50日」を連載、W杯後は「フランコさんのイタリア通信」と名前を変えて連載を続けてきたイタリア人ジャーナリスト、フランコさんのコラムが「フランコ・ロッシのカルチョイタリア通信」として一冊の本になった。

今回は単行本の発売を記念して、イタリアでは大統領表彰を受けるほどの著名なジャーナリストであるフランコさんにインタビュー。ジャーナリストの仕事や心得、ジャーナリストを目指す人たちに向けたアドバイスなどを伺った。
【いつも、サッカーの第一線にいられることが魅力】
Q フランコさんのお仕事について、普段の仕事の内容を簡単に紹介してください。
A これも質問でしょうか? 一応回答しておきますね
・新聞等にサッカー関連記事の執筆(現在レギュラーは持っていません)。
・インターネットでの記事配信(フランコの個人サイト 1日あたり1万ヒット平均)
・テレビ出演(全国放送を含め、週に3〜5番組)
・大学等での講演
・ジャーナリストであるのに、他ジャーナリストからのインタビューに答える(これ結構多いです)
Q 今の仕事の魅力はどこにありますか?
A 1958年寄宿学校にいた私は、当時16歳で、ワールドカップ決勝戦ブラジル対スウェーデンを見ていたときのことです。恐らくジャーナリストになれば、お金持ちになり、世界各地でサッカーの重要な試合を見ることができると思ったのですが、ジャーナリストになってすぐに分かったことは、お金持ちにはなれませんが、サッカーの第一線にいつもいられることです。なによりこれが魅力ですね。
Q 逆に、難しい部分や悩みはありますか?
A 読み手に自分の記事の内容を伝えるためには、シンプルで分かりやすいタイトルあるいは、出だしの文章が重要です。もちろん文章そのものも、同じ事が言えます。いくら記事の内容が優れていても、読み手が理解できなければ、それは不要な記事と言うことになりましょうし、タイトルや出だしが悪ければ、読んでもらえないことだってありえます。長い記者生活のなかで常にこれらの事柄が難しいですね。
Q イタリアではジャーナリストに国家資格があると聞きました。資格を取るのための方法を教えてください。
A イタリア司法省の試験に合格する必要があります。筆記試験と口頭試問があり、筆記試験では、自分のオリジナルの記事を書くこと。また口頭試問では、文化一般に関するテーマが与えられ、それに即答しなければなりません。
Q その資格をとるのはどのくらい難しいのですか?
A 試験は、さほど難しくありません。受験資格は、18ヶ月間以上の報道機関での見習いの後に付与されますので、その間に多くのことを勉強できるからです。
【その気になれば毎日が日曜日ということも可能ですが…】
Q 収入はどのくらいありますか?
A これは、かなり個人差があるのですが、わたくしの場合は、既に現役を引退していますので、年金をイタリア政府から支給されています。また、テレビの出演料等もあります。合計年収2,000万円程度でしょうか。
Q 現在の収入には満足していますか?
A 1965年に最初のお給料をもらった日から、収入に関しては、とても満足しています。ただ、わたくしは、浪費家なので、やはり1965年の最初のお給料から毎月1ユーロほど余計に遣ってしまいますが、、、
Q 睡眠時間はどのくらいですか?
A これも収入と同じように個人差があるのでしょうが、普通は5〜6時間夜というより、明け方に近い時間から寝ます。また、1時間程度のお昼寝も日課になっています。
Q 休みはどのくらいありますか?
A スポーツジャーナリストは、全ての土曜日と日曜日は勤務しなければなりません。休みは、通常平日に週1日と、40日間の連続したバカンス用の休暇、12月24日と25日はクリスマス休暇、パスクアの休暇とメイデイの5月1日、それから8月15日が、それぞれ1日ずつあります。もちろん現役ジャーナリストの場合がこれで、わたくしはフリーですので、その気になれば毎日が日曜日ということも可能です。なかなかそうはいきませんが。
【学ぶこと!学ぶこと!学ぶこと!】
Q 仕事に欠かせない道具があれば教えてください。
A うーん!そうですねぇ道具というのは、いわゆる三種の神器ジャーナリスト用みたいなことでしょうか? 昔は、人や馬や伝書鳩が記事を運んでた時代がありましたね。そして電信が可能になり、 報道の即時性が重要だと言われるようになってきて、現在は、コンピュータとインターネットの時代になりました。しかし、ジャーナリストは、自分自身が記事を生み出すわけですから、いつの時代も本人そのものが道具でしょうかねえ。ペンが折れたら口で言え、それも駄目ならパフォーマンスだって可能ですから。
Q ジャーナリストに向いている人とはどんな人だと思いますか?
A おしゃべりな中傷家であること。好奇心を持った知りたがりであること。天涯孤独であり、独身であることを受け入れられこと。終わりの2つは、真実を報道する際に、家族のしがらみも何もないことが必要であると私は、思っています。自分の発信する記事に関しては、時に命がけで書くこともありますのでね。
Q ジャーナリストになりたい人は、どんなことを学んだり、興味を持つべきですか?
A ジャーナリスト養成のための学校というのが、イタリアに限らず日本にもありましょう。学校で、あるいは、机上で勉強できることはテクニカルなことだけです。例えば、セックスのハウツー本を読んで、セックスの知識を得たと勘違いすることに似ていますね。いろいろなことに興味を持って、体験してみること。それが時に不必要だと思うことでも。
Q 日本で、スポーツジャーナリストを目指す人にメッセージやアドバイスがあれば、お願いします。
A 学ぶこと!学ぶこと!学ぶこと!そしてやはり学ぶこと! 体験もふまえて学ぶこと。それが知識となって、身に付いたときに、それらの事柄は、虫眼鏡で見るようにはっきり、くっきり見えてくるようになることでしょう。生半可な知識で書いた記事は、軽いですし、すぐに化けの皮が剥がれますのでね。
ここまでが、サポティスタ編集部の質問に対するフランコさんからの返答だ。ほぼ日のコラムで受ける柔らかな印象とはまた違った、ジャーナリストとしての厳しい一面を感じ取ることはできただろうか?
フランコさんのコラム集「フランコ・ロッシのカルチョイタリア通信」は水曜社から発売中。単行本発売を記念して「ほぼ日」でも特別企画が開催されている。
→酒井うららさんと、 イタリアについてしゃべろう!(ほぼ日刊イトイ新聞)

「フランコ・ロッシのカルチョイタリア通信」(水曜社)





















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